第4巻 第2号 2018年 12月号

ページ数 タイトル/著者
145~158 教育カリキュラムへの定着・質的向上に資するMM教育の展開方策に関する考察―行政・交通事業者からの資源提供によるカリキュラムマネジメントの促進―
土崎 伸、松村 暢彦、神田 佑亮、岡本 英晃、加賀 有津子
159~168 認定看護師が役割を獲得するまでのプロセスに関する研究
鈴江 智恵
169~177 緑地開発におけるインスペクター制度導入に関する研究
長谷川 明子、中村 晋一郎、朴 秀日、加藤 博和、林 良嗣
179~190 黒部市生地地区の清水にみる地域資源と住民の関係の持続性に関する考察
松野 祐太、福島 秀哉
191~204 被災地で「復興のシンボル」が成立する条件の研究―東日本大震災での4事例を踏まえて―
佐藤 年緒
205~214 林業を巡る社会的ジレンマの解決策―神戸市下唐櫃地域の実例と林業統計を基に―
水川 尭
215~222 共感形成の視点に立った「土木」の論考
人見 訓嘉、葉 健人、猪井 博登、土井 健司
223~234 現代公共空間の私的利用にみる生活空間の共用に関する地域特性の継承―浦安市元町地区を対象として―
安藤 理紗、福島 秀哉
235~242 低平地における水害危険区域の設定による被害軽減方策に関する研究―信濃川下流域を対象として―
上石 洋輔、安田 浩保
243~250 「働き方改革」に関する課題解決支援の提案
須永 直人
251~257 墓地に対する意識と生活質の評価に関する検討―群馬県前橋市を事例として―
塚田 伸也、森田 哲夫

掲載趣旨文
文責: 実践政策学エディトリアルボード
石田 東生・桑子 敏雄・藤井 聡・森栗 茂一
(※論文執筆者に含まれる者は、当該趣旨文の文責外である。)

教育カリキュラムへの定着・質的向上に資するMM教育の展開方策に関する考察―行政・交通事業者からの資源提供によるカリキュラムマネジメントの促進―

土崎 伸、松村 暢彦、神田 佑亮、岡本 英晃、加賀 有津子

本論文は、地域モビリティの質的改善、それを通した地域全体の厚生水準の増進に寄与するような、人々の態度や行動の変容、あるいは、形成を促すモビリティ・マネジメント教育(MM教育)の普及に関する実践的知見を、昨今学校教育現場にて展開されているカリキュラムマネジメントの考え方に基づいて、実践事例も踏まえながら実務的に検討したものである。MM教育は、今日、その重要性に比して十分に現場で浸透していない状況が継続している中、現場ニーズを的確に踏まえた普及のための基礎的知見が、適切に社会的に共有されることの必要性、ならびにその記述の適切性を鑑み、今回掲載する事となった次第である。

認定看護師が役割を獲得するまでのプロセスに関する研究

鈴江 智恵

長年にわたる著者の看護活動から得られた知見を活用し、認定看護師の役割獲得プロセスを記述分析しており、興味深い公的実践性ある優れた研究である。また、認定看護師の育成という重要な実践への社会的貢献も期待できると評価し、掲載する。

緑地開発におけるインスペクター制度導入に関する研究

長谷川 明子、中村 晋一郎、朴 秀日、加藤 博和、林 良嗣

開発インパクトに対する新しい環境評価法として、わが国で初めてとされるインスペクター制度の適用事例の報告と、その有効性、展開可能性を論じている。公的実践性の高い貴重な論文であり、社会的共有知性も高いと判断し、掲載する。

黒部市生地地区の清水にみる地域資源と住民の関係の持続性に関する考察

松野 祐太、福島 秀哉

本研究は地域住民による水資源管理についての研究で、黒部市生地地区の湧水について、各清水と地域住民の関係と変化およびその要因について詳細な調査にもとづき、地域住民による水資源管理の意義について論じた研究である。社会的共有知性という点から価値ある論文であり、搭載する。

被災地で「復興のシンボル」が成立する条件の研究―東日本大震災での4事例を踏まえて―

佐藤 年緒

災害被災地で、住民が復興の道を歩むうえで、心の支となり希望や励みになる「復興シンボル」の意味を分析した労作である。独自の視点であり、共有されるべき知見・考察を多く含み、社会的共有知性も高いと判断し、掲載する。

林業を巡る社会的ジレンマの解決策―神戸市下唐櫃地域の実例と林業統計を基に―

水川 尭

森林は国土保全を始めとするいろいろな公益的機能を有し、また木材資源としても重要であるが、森林資源の過少利用が続き、十分かつ適切な森林管理がなされていない状況にある。本研究は、森林管理と林業の抱えるこのような問題を、まず各種データかを用いて描写し、その背景を共有者・需要者の両方に存在する社会的ジレンマ問題として整理したものであり、成果は共有知性に優れるものである。また、神戸市下唐櫃地域におけるヒアリング調査をもとに具体的な地域社会的課題としても描写している、これらは今後の各地における林業と地域社会の持続への示唆を与える点で公的実践貢献性が認められる。

共感形成の視点に立った「土木」の論考

人見 訓嘉、葉 健人、猪井 博登、土井 健司

コピーライター、都市計画、土木計画の研究者の協働による研究であり、土木分野における共感形成についてコピーライターの思考法という暗黙知を形式知化した「共創の4C」の循環モデルを提案し、抽象化と具体化の往還により課題改善の方向性を示した研究である。新鮮な視点の提案と異分野間の研究協働がうまく働き、実践性と共有知性を高いレベルで達成しており評価できる。

現代公共空間の私的利用にみる生活空間の共用に関する地域特性の継承―浦安市元町地区を対象として―

安藤 理紗、福島 秀哉

本研究は、地域住民の主体性による公共空間の住民による指摘利用についての論考である。フィールドを千葉県浦安市元町地区におき、近年大きな変化を被っている地域について、その変化に注目しながら、なおかつ地域がもともともっている生活空間の地域継承について論じたもので、社会的に共有すべき知として重要な研究成果である。搭載する。

低平地における水害危険区域の設定による被害軽減方策に関する研究―信濃川下流域を対象として―

上石 洋輔、安田 浩保

土砂災害や津波災害について設定されている「危険区域」の概念を、「河川水害」に適用しようとする野心的取り組みを、その具体例を示しつつ実務的に展開している。最終的に、この河川水害の危険区域の設定方法を提案している。エディトリアルボードで査読の結果、この設定方法は、実務的に大きな意味を持ち得ると共に、その設定方法は、一定の科学的、実証的根拠を持ちながら実務的に運用可能なものであることが確認されたことから、十分な公的実践貢献性と社会的共有知性が認められると判定され、登載となった。

「働き方改革」に関する課題解決支援の提案

須永 直人

働き方改革の実現と生産性向上との両立が重要な社会的課題となっている中、本研究は同一労働同一賃金に関するインターネットアンケート調査を実施し問題の大枠を記述するとともに、著者の長年のコンサルティング業務によって培われた実践的知見に基づいて開発されたソーシャルヘルスアプローチ(SHA)によって、働き方改革と生産性向上には、個人と企業の将来像を相互作用として捉えながら、個人と組織の両面から検討する必要があり、そこでのコミュニケーションの観点からの支援が重要な役割を持つことを明らかにしている。SHAの実践はまだ規模も小さく更なる検討が必要であるが、実践的方法の提案と実践により得られた知見の共有知性は高く、掲載に値すると評価した。

墓地に対する意識と生活質の評価に関する検討―群馬県前橋市を事例として―

塚田 伸也、森田 哲夫

本論は、墓地に関する意識とQOLとの関りを因子分析したものである。大規模意識調査結果を標準的な方法によって解析考察した、労作の論文である。公的実践の展開に貢献し、かつ社会的共有知性の高い論文と評価し掲載する。